家づくりこぼれ話!

こんにちは 

建物と土地とお金のプロ菅原です。

住まい文化の栞

傷があるからこその名器

利休以前の茶器は、

唐物が主流でした。

やがて「わび」を求めて、

朝鮮の焼き物も茶器として

求めるようになります。

その代表格に

「井戸」と呼ばれる器があります。

じつは原産地の朝鮮では

誰でもが使う安物の量産品で、

塗薬も整っているとはいえません。

しかし、

数ある中から選ばれて海を渡り、

その中でも

「わび」の目利きが加わると、

名器になります。

この井戸の器の中でも、

さらに逸話が残ると

昭和の重要文化財になります。

その器が

「筒井筒の井戸」です。

その逸話の主人公が、

豊臣秀吉です。

筒井順慶が一国の救済を願い

秀吉に差し出した茶碗として

逸話が残されています。

当然、

秀吉も大切にしていましたが、

さらに続きがあります。

ある時、

小姓が誤って落として

割ってしまうのです。

この時、

歌の名手の細川幽斎が、

伊勢物語と

世阿弥の筒井筒のくだりを引いて

謝ることで

秀吉の怒りがおさまります。

そして丁寧に修理され

現代に伝わり文化財になりました。

今でも焼き物の修理には、

金継(つくろい)いが使われます。

割れた欠片を

漆と陸稲(おかぼ)の糊で修復し、

金箔を貼って仕上げたものです。

荒れた焼き物の肌と同じように、

修復できた傷痕も

焼き物の「景色」として

財産になります。

工業製品が蔓延し、

プラスチック等の合成素材が

大量生産されると、

使い捨てが広がります。

手に入れたときには

新しくきれいでも、

汚れて壊れればゴミになる。

たくさん作られていると思えば、

簡単に新品に変えたくなります。

傷があるからこその名器とは、

全く逆の世界です。

簡単に替えるわけにはいかない

住宅では、

手直しをして、

傷を景色として刻みながら、

令和に建てた家も

元号を重ねて古民家になるまで使い続け、

名品に育て上げてほしいものです。

本日はこれまでです。

おうちのはなしからでした

では、では。

「家づくりを通じて、

ご家族が幸せになるお手伝いをする」

私の使命です。