家づくりこぼれ話!

こんにちは 

建物と土地とお金のプロ菅原です。

住まい文化の栞

文明を支えた木

1991年、

アルプス山脈の奥、

オーストラリアとイタリアの

国境付近で5千年前の

男アイスマンが発見されました。

所持品や食べていたもの、

肺に残されていた花粉から、

石器時代のアイスマンの活動が

分析されています。

所持品には

皮のコートや防寒靴を履き、

いつでも火を起こせるように

火種を持ち歩き、

弓矢などの武器と

鋭い石器のナイフを持っていました。

もう1つ、

銅製の斧もありました。

5千年前には、

石器と金属器が混在していたのです。

しかも権力者の墓からではなく、

行き倒れた個人の所持品です。

すでに

貴重品ではなかったと考えられます。

でも、

ここで見てほしいのは、

その同斧ではなく

斧を取り付けていた柄のほうです。

石器時代とか同斧とか、

まるでこれらが文明の象徴のように

扱われていますが、

人類の文明の多くは

木の使い方にあったことを

忘れてはいけません。

普通に切り出した木材に

同斧を取り付けたのでは、

叩いた時の反動で

木材が割れてしまいます。

木の枝分かれしたところや、

曲がっているところでは

木材内部の繊維質がからみ合って

丈夫になっています。

あて材という木材の性質を知って

作られているのです。

しかも、

こうした柄に使われている機種の多くが

イチイの木であり、

遠く離れた日本でも

同じ木を選んでいます。

また、

銅を加工するには、

木材を燃やして

高温のエネルギーが要ります。

木材の燃やし方の工夫なしでは、

金属は扱えません。

さらに高温が必要となる

青銅器を経て、

炭という木材の燃やし方が

知られて初めて

鉄器をつくることができます。

そしてなによりも、

この同斧をアイスマンは

何に使ったのでしょうか。

とても武器には見えませんし、

細かい作業ができるようにも

思えません。

どうやら木を伐ることに

いちばん向いていそうです。

同斧は大事な木材を得るのに、

作られた道具なのです。

本日はこれまでです。

おうちのはなしからでした

では、では。

「家づくりを通じて、

ご家族が幸せになるお手伝いをする」

私の使命です。